自分の表現したものが否定されたり、笑われることなく、全て肯定されてその中から感じられた個性が見出された時、その経験は表現者(その子、その人)にとって自信につながり、新しいことにもチャレンジしてみようと自分を高めていきたい気持ちを育てます。

そして絵によって可視化された表現を見た者は、今までの「こうでなければならない」「こうあるべき」という固定概念から解放され、まわりの人たちはもちろんのこと、自分自身にも多様な個があることを実感することができます。

そのような経験、体験ができる場であるために、

安心安全な場であること

自分で考え、自分で選び、自分で決められること

老若男女、障害のあるなし関わらず、誰でも参加できること

に努めています。

特に野外アトリエでは何があるのか、何をしているのか、どんな場所なのか、絵を描くことに苦手意識がある人でも「見るだけ」ができるので、ここでは自分の思いや考えが尊重される場所であることを感じてもらい、安心できる場を理解したうえで参加してもらうと「描けない」「下手だから」といった、他人と、何かと比べてきた苦手意識を解放できます。

絵の具という気楽で自由自在に扱える画材を使うと、言葉で伝えることが苦手な人、言葉の主張が強すぎる人も、色やかたち、感触から心の内を表現することで、自分自身と向き合うことができます。

やってみたいこと、やりたいことをとことんする姿勢は、わがままで自分勝手な人を生み出すのではなく、小さな、思い通りにならなかったことを何度も経験することによって、自分で考えて工夫する、ひとつのことに囚われず、次を考えられる思考を育てていきます。

答えがない、正解がないことは不安で、はっきりと完成形がわかるもの、評価ができるものに人は安心を覚えます。

アートは明確な答えはなく、正解もありません。

ですが、自分の心、自分の気持ちをそのまま表すことができます。

こわい、気持ち悪い、汚いものは「よくない」とされ、

綺麗、かわいい、美しいものだけが「よい」とされる極端な評価は、固定概念を強固にし、自分自身を偽るには十分すぎる環境です。

気持ち悪いと感じた心にもOK、

こわい感情を表現できたことにもOK、

わからないと感じることもOK

いまの自分の思いや考えを自身で尊重し、大事にすることで、自然と他者の思いや考えに対しても柔軟性があって、時には協力的で、認め合うことができてきます。

そのような子ども、大人が増えていくことで生きやすく感じる人はとても多くなるでしょう。

違うものを排除しようとしない

思い通りにしようとしない

誰もが安心して過ごせる、他者と認め合う社会をアートを通じて広げていきたいと思っています。

●主宰者 なかやん(なかやま えいこ)●

アトリエでは「先生」ではなく、「なかやん」と呼んでもらっています。

描き方や技法を教える、教えてもらう場所ではなく、その子の、その人のやりたいことをサポートする、ひとりのヒトとしてそこに居ます。

約20年間、保育士、幼稚園教諭として従事し、放課後等デイ(小学1年生~6年生)から発達支援センター(3歳児~5歳児)でも造形あそびを取り入れた療育を行っていました。

アトリエを始めたきっかけは、5歳児の担任をしていた時に、自信のないお子さんと自信がありすぎるお子さんがそれぞれ色や造形を通して、視点や態度が180度が変わったことを目の当たりにしたからでした。(詳細はブログ「これまで出会ってきた子どもたち」を一読していただけるとうれしいです。)

保育、教育の中だけでなく、もっと身近に、自由に表現できる場所、表現している子どもたちを感じることで、私たち大人も「こうでなければならない」ことの囚われから解放され、生きやすさを自分自身で見つけることができる、そのきっかけとなる場で在り続けたいと思っています。